ワークフロムホーム(WFH)が浸透し、仕事とプライベートの境界をどのように区切って暮らしていくか、お悩みを持っている方も多いと思います。
家族で暮らしている場合は、作業空間をどこに作るか、家事、子育ての分担など、WFHをきっかけに見直さなければいけないことも山積みです。
今回取材をさせていただいたHiroさん(一級建築士・33才)とBewさん(ECセレクトショップオーナー・33才)のご夫婦は、二人ともフリーランスで働くクリエイター。
数回の引越しを経て、「住まう」「働く」のバランスを模索してきました。この記事では、二人の軽やかな暮らし方を紹介していきます。
フットワーク重視の軽やかな部屋づくり
在タイ5年目の日本人建築士のHiroさんと、タイ人のBewさんは友達の開いたホームパーティで意気投合し、2年の交際を経て2019年に結婚。おだやかな空気感がよく似ていて、本当にほほえましいカップルです。
現在は、Bewさんが飼っていた2匹の猫と一緒にバンコク市内のコンドミニアムで暮らしています。
結婚してからは、お互い会社員からフリーランスになったり、コロナの影響で在宅作業の割合が増えるなどワークライフバランスの変化でなかなか心地よい暮らし方が定まらなかったという二人。
元々このお部屋はBewさんが投資用に購入していた物件だったそうですが、コロナの収束も見えてこない状況で賃貸に出すメリットが薄いため、リノベーションをしてしばらくは自分たちで住むことにしたのだそう。
「タイは日本に比べて引越しのハードルが低いので、今の家に落ち着くまでに1年で3回も引っ越しました。
僕らは日本とタイにそれぞれの家族があり、今後起きるライフイベントや仕事での変化も考えると、いつでも自由に動けるようにフットワークを軽くしておきたい。
だから今は“コンパクトで可動性の高い暮らし”を心がけています」(Hiroさん)。
ワークスペース
壁は二人で塗り直して、思い出の写真やアイテムを飾るシェルフを設置。照明は「カフェのように落ち着ける空間にしたい」というBewさんの希望で、あたたかみのある暖色系のダウンライトとスポットライトをミックスしています。
リビングからゆるやかにつながるワークスペースは、Hiroさんの作業空間です。天井にはロールスクリーンが取り付けてあり、集中したいときは奥の部屋と空間を区切ることができるそう。
おうち時間が増えると一人の時間を持つことが難しくなりますが、これなら圧迫感もなく間仕切りできるので、どんなお家でも簡単に取り入れられそうなアイデアです。
Hiroさんは建築士という職業柄、大画面のモニター環境が必須。そこでノートPCを立ててデュアルディスプレイにし、省スペース化。PC周りの配線はファイルボックスを使って目立たないようにまとめてあります。
Bewさんの作業場所はソファとリビングテーブル。高さ調節のできる昇降式テーブルなので、仕事でパソコン作業をするときも姿勢が崩れず快適なのだそう。
細々とした文房具やハンドメイドの道具も、このテーブルの引き出しに収納してすっきり見せる工夫をしています。
また、ソファは背もたれを倒すと来客時のベッドにもなるものをチョイス。ソファやテーブルなどの場所を取る家具は、多機能なものを選んで空間を効率的に使う工夫をしています。
収納・ディスプレイ
部屋に備え付けのクローゼットは、ファッションが大好きなBewさんの洋服をメインに収納。Hiroさんの衣類は畳んでフタ付きのストレージボックスに収納。引越しの際もフタをテープで止めるだけで移動が可能に。
セレクトショップを運営するBewさんは”かわいい雑貨”が好き、建築家のHiroさんはシンプルでソリッドなものが好き、とテイストの違いはありますが、
- モノの置き場所を決める
- 極力モノを増やさない
というルールのもと、お互いが心地よく過ごせるバランスを保っているそうです。こちらは、Bewさんのネコ愛があふれているコーナー。ハンドメイドが趣味のBewさんが作ったかわいい陶器のネコグッズなど、ほっこり癒される空間になっています。
食事の時間を固定して仕事効率を高める
WFHで難しいのが、つい仕事に夢中になってしまい家族と食事のタイミングが合わなかったり、反対にテレビやネットサーフィンなど仕事の集中を妨げる誘惑が多いこと。
二人とも家で仕事をしているHiroさん夫妻は、どのようにしてお互いの仕事モードをキープしているのでしょうか。
「朝昼晩の食事の時間を固定して、3時間おきくらいのペースで休憩を入れるようにしています。二人とも料理が好きなので、交代で食事を作ったり、掃除や洗濯などの家事は1時間で集中的に片付けるようにしています」(Hiroさん)。
「私は料理が趣味なのですが、タイでは自炊しない人も多いので、キッチンの換気が弱いことが多いです。スパイスを使うタイ料理は部屋に一気に匂いが充満してしまうので、料理中にキッチンを間仕切りできるパネルドアを設置したのも家づくりでこだわったポイントです」(Bewさん)。
夫婦でのテレワークの場合、多くの人が夫婦ゲンカを経験するという調査もありますが、おうち時間が長くなっているからこそ、習慣や生活感をコントロールして仕事に集中できる環境を作るルーティンの整備が家族円満のポイントになりそうです。
2匹の猫と暮らす工夫
猫が2匹いるとは思えないほど、壁や床に傷もなくキレイに片付いた二人のお部屋。猫と一緒に快適に暮らすためにどんな工夫をしているのでしょうか。
「まず大事なのは猫にストレスを与えないこと。ストレスが増えると抜け毛が増えて部屋が汚くなってしまうので、良い食事とお水を与え、毎日の毛繕いをして健康で幸せな状態にしてあげることです」(Bewさん)。
「猫はしつけが難しいので、自然の動物が部屋の中にあると割り切っています。掃除機をコードレスタイプにしてこまめに掃除することを心がけてます。猫のおかげで、逆に部屋が綺麗になっているとも言えます」(Hiroさん)。
「もう一点は猫の個性をよく理解すること。個体ごとに何をかじり、引っ掻きたいかが違うので、いろいろなおもちゃや爪研ぎグッズを試して良いものを選びましょう。一番のお気に入りが与えられている場合はそれだけで遊びますが、どうしても他のものを傷つけてしまう場合は、隠すか届かない所に置くしかないです」(Bewさん)。
WFH中に猫がいてよかったこと
ワークフロムホームが続いていることで、ペットと一緒に暮らすことを考え始める人がとても増えています。Hiroさん夫妻も、この期間中に改めて猫と一緒の暮らしの楽しさを実感したそうです。
「猫がいるだけで笑えるので、外に出なくても気分転換やリラックスした気持ちになれます。ちょっと疲れたときにも猫をハグすればやる気がまた湧いてきます」(Bewさん)。
「猫の行動は予想できないので、予定調和的な家の中にイベントを起こしてくれます。猫が変な座り方をしているだけでも、二人で笑ったり写真を撮ったりできるので気分転換になるし、話題に事欠かないですね」(Hiroさん)。
まとめ
先が予測できない状況の中で、柔軟に住まいのスタイルを変えてきたHiroさんとBewさん。ミニマムで機能性の高い作業空間の作り方や、家事分担の考え方など、二人の軽やかな暮らし方は共感できることばかりでした。
一級建築士のHiroさんのnoteやインスタグラムには、プロならではのためになる建築情報や美しい建築写真が満載。ぜひ、気になった方はこちらのリンクからご覧になってみてください!
奥様のBewさんが運営するECセレクトショップはこちら。英語でもお買い物が可能だそうです!
また、「Slowlish.」では住まいや暮らしの取材をさせていただける方を募集中! もし、取材に協力してもいいよという方がいらっしゃいましたら、SNSのDMやこのサイトのお問い合わせフォームからご連絡お待ちしております。
メッセージを送る